色彩感豊かな日本の伝統色から五つの色を選びました。
ブランド名senseの五文字を各色名の頭文字に使用しています。
くろうるしを塗った漆器のような深く艶のある黒色。
純粋な黒であり『純白』の対義語になる。
黒の中でも最も暗い色の意味として使われ、現代作家には「漆黒の闇」など闇、髪、瞳などの黒を表す情緒的な表現として用いられる。
元々は黒みをおびた深く艶やかな紅色の、古代中国より伝わった顔料を指す。
「臙」とは中国の古代国家「燕」に由来し、「脂」とは「化粧の紅」を意味する。
顔料としての臙脂は古くから伝わっていたが、意外にも染料として一般的に使われるようになったのは化学染料が広まった明治中期頃からである。
灰がかった濃い青色。
本来は熨斗目という縞や格子などに織り出した平織りの織物で仕立てられた小袖のことを指す。
五代目市川団十郎が好んだ薄花色よりも濃い藍染の色を「熨斗目花色」という。
緑みの暗く鈍い青色。
納戸色とは江戸時代に流行した藍染めの一つであり、納戸のうす暗い感じに似ているためそう呼ばれた。
錆鉄とは、錆びた鉄という意味ではなく、くすんだという意味に用いられている。
灰がかった暗い赤色で、縁起のいい伊勢えびの色にちなんだ「海老色」に茶みをふくませたもの。
明治時代中期から後期にかけ袴の色に流行したほど一般的な色である。
色にこだわるからこそ敢えて難しい手法で色味を表現しました。
下地と重なり合うことでより深みを増します。
MSI
マスキング染色加工
金属への表面加工にも拘りました。今回、鮮やかな発色が可能である七宝を敢えて選ばず、ベース地の色との重なりから色を作り出すMSIによる染色を選択しました。色の表現から考えると難易度は上がりますが、フレームに施した塗膜へ染色するMSI技法を採用することで、金属の質感を残し厚みの無いすっきりとした表現が可能となりました。
こうして施工業者との念密な打ち合わせの中幾度とない色調整を行い、五つの深みのある日本色の美しさが現れました。
日本人なら誰もが持ち得ているような感性。
ブランド20周年を機に、ジャポニスムを改めて見つめ直します。
写真はインスピレーションを求め訪れた京都での風景。
この旅から色への探訪が始まりました。